2014.04.17#
中古物件、雨漏りで全面的に外壁リフォーム
アパートオーナー様より依頼されたサイディング張り替え工事です。多少は汚れていますが見た所特に問題は無さそうなのですが・・・
今回は雨漏りがあり得ないほどひどく、過去に補修工事をしたようですが直らず、今回当社が依頼を請け改修工事を行う事になりました。
サイディング張り外壁の雨漏りの原因はほぼ100%下地処理の不備によるものです。この現場は、アパート全体で雨漏りが起きていて、部屋のあちらこちらに雨染みが出来ていました。一見、板の反りもなく割れている個所も見受けられないのに、なぜ!
実はサイディングと言う外壁材はあくまでも一次的な防水材なのです。この事はほぼすべての外壁(モルタル、金属系サイディング、旭ヘーベル)に言えることですが、ごく微量の水を通してしまいます。
そうです!だからこそ二次防水の防水紙工事が全ての外壁材にとって本当に大切なのです。神奈川県で本格的にサイディングが普及し始めたのが25年位前。10年位前がピークで新築の外壁の約7割がサイディング張りでした。
当時まだまだ歴史の浅いサイディングに対しての知識、経験の浅かった建設業者及び工事業者は雨漏りを人に言えないくらい起こしていました。20年前、実は当社も建設業者様よりサイディング工事を請け負い自社工事による施工をしていました。御多分にもれず当社施工の現場でも雨漏りが発生したことが幾度かあり、当然責任施工で雨漏りを直していました。色々なケースの雨漏りを経験し、時には他の施工業者の雨漏りを直す事もありました。ここでお伝えしたいのはサイディングが雨漏りしやすいと言うことではなく20年程前の施工技術が成熟しておらず雨漏りが多かったということです。現在では様々な工夫がされ又、ベランダ防水アルミサッシとの取り合い製品の改良及び防水紙施工の注意点の徹底により雨漏りのリスクはほぼ解消しております。ここにご紹介させていただくこのアパートはその当時としても最悪なケースなのです。
まずは解体。サイディングを剥がしてみたら!なんと防水紙が施工されていませんでした。なぜか防水紙の替わりなのか3mm厚のベニアが全体に貼られていました。写真を見ていただいてお分かりのとおり水の侵入によりベニアはボロボロ。もともと3mmのベニアは防水効果も建物の強度強化効果もなくなぜこの様な施工をしたのか理解出来ません。
この様にサイディング材その物は必ず裏面に水を侵入させます。当然改良により20年前の物に比べ多少は減らすことは出来ていますが現在でも水が入ってしまう事を前提に施工しなければいけないのです。
補強の様子です。
補強はしましたが、当然構造体の強度は低下しています。それを補うため現在の耐震構造の施工時に主に使用される12mmの構造用合板を建物全体に張り巡らせました。あくまでも計算上ですがこの合板を張ると壁の耐震強度が2.4倍になるといわれています。現在の新築現場の長期優良住宅はこの合板又はそれに代わる同等程度の強度が出る部材を張っています。当然2.4倍の強度は今回のケースでは期待は出来ませんが、ある程度の補強にはなると考えています。耐震ではないけれども通常程度の強度は取り戻せたと思います。これ以上のこととなると建て替えをするしかなかったのです。
この様に建物全体に12mmの構造用合板を張り、しっかり補強しました。
これからが新しいサイディング工事です。まずは防水紙で建物全体をしっかりカバーします。(この白い防水紙は現在、サイディング張りの施工の場合必ず使用される物で水は通さないけれど湿った空気は通すと言う紙おむつの様な機能があります。)この作業が一番大切で、窓、配線、配管その他との物との取り合いをこの段階でしっかりと止水しなければいけないのです。
仮にこの状態で雨に降られても構造体への水の侵入はあってはならないのです。しかし所詮色々な部材も釘又はホチキスのような物で止めていくのでほんの微量の水(釘の周りを微量湿らす程度)は侵入します。*これを法規上は雨漏りとは言いません。
次は胴縁工事です。写真の様に巾45mm厚み12~18mm程度の木をサイディングの下地として取り付けます。この工事は大変重要で躯体とサイディングの間に空気層を作るのです。この空気層がサイディングから侵入した微量な水を下に流したりその場で空気により乾燥させるのです。
25年前の新築現場ではこの工法はほとんど施されてはいませんでした。また、この空気層は建物内部から発生する湿気もこの透湿防水紙の効果で外部に排出する効果も多少ではありますが有効と考えられています。
以上の内容を施しサイディングが張りあがりました。た。